2023年度2年ゼミ夏の書評チャレンジの合評結果について
- seikeigakubueuropa
- 2023年9月29日
- 読了時間: 3分
2023年度ゼミナール書評審査会
日時:2023年9月19日午後
開催地:ホテル伊東ガーデン(別館会議室)
記録:高見
●審査結果
本審査会では、2023年度2年ゼミナール生が今夏の課題としてチャレンジして作成した書評の第一次稿(または一次修正稿)について、特に優れた点を有すると評価された書評を表彰します。審査結果は、3・4年ゼミ生が主体となって合評し、決定したものです。教員の役割は原稿を3・4年生に事前配布し、司会進行をすることに留まりました。
なお、繰り返しになりますが、表彰は第一次稿(または一次修正稿)に対する評価によって決められたものであり、最終的にゼミナールHPに掲載される書評は、その後に加筆・修正されたものを含みます。
実際の合評時においては、参加した3・4年生から厳しくも暖かい意見が飛び交いました。今年度は上位4名を表彰しましたが、惜しくも表彰を逃した書評の中にも、高い評価を受けた作品がありました。
今回は、昨年度と異なり、事前に3・4年生へ原稿を配布し、読んできてもらってから審査を行いました。そのため、文章の読みやすさと論理構成の分かりやすさとともに、自分なりに本の位置づけや評価を積極的に試みた作品が高い評価を受けたように感じます。審査側として参加した学生にとっては、他者が作成した文章を吟味し、ディスカッションすることで文章作成を客観的に理解し、考えるきっかになったはずです。今後、こうした経験を、自身が文章を作成する際やプレゼンテーションの構成に生かしていくことが期待されます。
以下が、今年度の受賞作品です。
★最優秀賞
舩橋琉奈(飯倉章『1918年最強ドイツ軍はなぜ敗れたのか~ドイツ・システムの強さと脆さ~』文藝春秋、2017年)
本書評は、各章の内容を分かりやすく整理しながらも十分に述べた上で、自身の意見を起点に客観的かつ批判的に議論を展開することができている。また、想定される読者層をしっかりと考察した上で、潜在的な読者層の可能性にまで触れた点も評価された。全体として、書評に必要な構成を備えており、各部分についても高く評価された形になった。
★優秀賞2位
村岡聖太(T.C.W.ブラニング(天野知恵子訳)『ヨーロッパ史入門/フランス革命』岩波書店、2005年)
本書評は、簡潔でありながら必要な要素を備えた書評として評価された。本のタイトルと本の内容のズレに注目し、「筆者が述べたいこと」を推測して筆者の意図を分析している。フランス革命の入門書という類似のタイトルの入門書が数多く存在する中で、この本の特長と適した読者層を考察して明快に説明している点が高く評価された。
★優秀賞3位
名古屋美帆(角山栄、川北稔編『路地裏の大英帝国 イギリス都市生活史』平凡社、1982年)
本書評は、各章ごとの内容説明が詳細に書かれている。したがって、全体としての分量は多い方であるが、それが気にならないほどの読みやすさが高く評価された。また、本書以前の研究の潮流をしっかりと踏まえた上で、本書(と本書の著者)との違い、本書の新しさをしっかりと指摘している点も評価された。
★優秀賞4位
印宸皓(三宅正樹他『ドイツ史と戦争: 「軍事史」と「戦争史」』彩流社、2011年)
本書評は、目次から批評部分までの一連の流れに勢いがある。構成にメリハリをつけて各部分のまとまりを意識するような形で修正するとさらに良くなるとの指摘があったが、それでもなお論点は明確であり、積極的に批評を試みている点が評価された。
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