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格差を解消し経済成長を図るEUの対貧困政策

  • seikeigakubueuropa
  • 2022年4月27日
  • 読了時間: 4分

更新日:2022年7月8日

執筆:永町光基(法律政治学科3年)




出典).Microsoft Wordより




PART 1 貧困削減目標と現状


①貧困削減は欧州2020の包括的成長のための重点目標


・欧州2020は2010年に策定されたEUの経済成長戦略で「賢い成長」、「持続的成長」、「包括的成長」を柱とする10か年計画を立てた。この3つを実現するために、雇用、研究開発、気候変動、エネルギー、教育、貧困、社会的排除の7つの主要政策を打ち出した。


・特に貧困の削減については欧州2020の中で「成長と雇用の恩恵を広く共有し、貧困者と社会的に排除されている者が尊厳を持って生活し、社会に積極的に関与するよう、社会的・地域的結束を確保する」と掲げた。


・貧困の3指標とは低就業率、低可処分所得、物質的困窮の3つである。「貧困の3指標」のうち1つでも当てはまる人を「貧困または社会的排除の危機にさらされる人」と定義し、その数を2020年までに25%、すなわち2000万人減らすことを目標に定めた。



②子ども、女性、年配者に多い貧困


・2011年現在、EU市民の24%(1億2000万人)が貧困層に分類され、そのうち子供が27%、65歳以上が20.5%を占めている。


・EU市民の9%が必要物資が足りずに苦しんでいる。冷暖房が十分でなかったり、水や電気が引かれていないなど、極度に困窮している人もいる。


・EU市民の17%が、その国の平均収入の6割に満たない収入で生活している。日本では平均年収が445万円のため、その6割以下となると267万円以下となる。


・ロマなどの少数民族は3分の2が失業しており、子供の半分は幼稚園に通っていない。そして高校卒業までたどり着くのは15%しかいない。


出典). https://eumag.jp/feature/b0315/より




③EUでの貧困率


・EUでは2008年の貧困層は1億1700万人だったが、2013年には1億2300万人と増加している。総人口に対する比率でも2008年の23.8%から2013年の24.5%へと増えた。2013年のEU加盟国貧困率を見てもブルガリア人の48%、ルーマニア人の40.4%、ギリシャ人の35.7%が貧困層に分類されていることが分かる。EU域内での格差解消はまさに先送ることができない喫緊の課題である。




PART 2 貧困削減目標達成に向け、EUの総力を結集


①格差のない社会実現のための重要手段――結束政策


・EUは、全体の調和を目指して地域による不均衡を是正し、結束することを重視してきた。そのためEUの地域政策は、結束政策といわれている。


・結束政策の下、欧州地域開発基金、欧州社会基金や結束基金を用いて、雇用を増やし、イノベーションを促進し、教育や環境問題などの取り組みに資金を投入している。


・2004年以降の新規加盟国の一部では一人当たりのGDPがEU平均の半分以下の国もあるなど、加盟国内の経済格差は大きい。特に経済的に追いつくためには、産業のインフラ整備などへの投資が必要である。




②格差是正政策の問題点と課題


・格差是正政策によりEU域内での格差は縮小しつつある。しかし、域内格差是正に重点を置きすぎると、限られた資源が産業競争力強化に振り向けられなくなり、EU全体として経済停滞に陥る恐れがある。そのため、域内の調和と結束を図りつつも、経済成長を達成するような、バランスの良い政策が必要とされている。



底辺層向けにさらなる基金を活用

省エネ仕様になっている社会的弱者向けの集合住宅(フランス)




出典). https://eumag.jp/feature/b0315/2/より





結束政策の下、実際に資金を拠出する各種基金は、政策推進に重要な役割を果たしている。

すでに貧困簿区別対策には、ESFが2014年から2020年の間に860ユーロを支出することを決めているが、これは雇用促進が目的で、主に教育や職業訓練となる。「最も貧しい人々への欧州援助基金」はそのような底辺層を引き上げようとするもので、2014年に設立された。


・FEADからは2014年から2020年にかけて38ユーロが支出されることが決まっている。

 EU域内で最も困窮している400万人を対象とし、貧困から抜け出すための初期支援とす

る。具体的には食べ物に困っている人やホームレス、物質的欠乏に苦しむ子供たちに、食料や衣服をはじめ、石鹸などの日用品を支給する。



<終わりに>

このように、貧困を克服する道のりは長いことが分かった。しかし、弱者を救済して発展していく社会を求め、EUは全力で取り組んでいるのが現状である。






<注>

今回のブログ記事の内容は、以下のページの記事内容を、自分なりに理解・解釈してまとめたものです。

EU MAG 駐日欧州連合代表部の公式ウェブマガジン「格差を解消し経済成長を図るEUの対貧困政策」

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©2021 by 拓大「ヨーロッパの社会経済と歴史」ゼミ。Wix.com で作成されました。

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